回の路上ライブの会場となった渋谷ハチ公前広場は、すでにそこかしこで路上ライブが行われており、平日だというのに若い子たちで賑わっている。そんな人々の流れが引きも切らない一画に、3本のマイクスタンドが立てられ、機材のセッティングが着々と行われている。そしてその周りには、テレビ局のカメラマン達が三脚を立てたり、ベンチの上に登ってファインダーを覗いたりしている。そんな様子を見て、スクランブル交差点で信号待ちをしている人や、ベンチで話し込んでいる人たちも「何か始まるのかな?」としきりに気にしているようだ。

後10時。Do As Infinityの3人が登場した。マイクに向かったvanちゃんは、灼けた肌に白いワンピースがよく似合っている。
「こんばんは。Do As Infinityです。ちょっと暑いんですけど、気になる方は聴いてって下さい」と軽く道行く人々に挨拶をして、すぐに1曲目の『Welcome!』を歌い始めた。曲が始まると、すぐに20〜30人ほどの人がワッと集まってきた。今回の路上ライブは、全く事前告知を行っていなかったので、この時に集まった人たちは純粋に彼等のサウンドに引き寄せられたのだ。ライブの進行とともに「これ以上集まったらヤバくない??」と、心配になるほど3人の周囲には人が大勢集まってきた。あまりの人の多さに、vanちゃんが「みんなもうちょっと前に来て」と後ろで見ている人を気遣って声をかける場面もあった。

盤にさしかかり『Tangerine Dream』を演奏中に、突然電源が落ちるというアクシデントが発生。しかしvanちゃんは、観客と一緒になって手拍子をしながらマイク無しでも歌い続け、daiとryoもギターを弾き続けた。突然のアクシデントにも3人とも特に驚いた様子もなく、楽しそうに笑いながらプレイを続け、まるでハプニングをも楽しんでいるように見える。
「路上ライブはやっぱりね、こうゆうハプニングが面白いんですよ」と余裕の発言をするvanちゃん。この頃には広場の半分ほどのスペースがD・A・Iの観客で埋め尽くされていた。隣で演奏していたバンドは、あまりの集客力に圧倒されたのか、半ばヤケクソでライブを続けていた。そんな彼らも「自分達だって、いつかこうなってやる!!」とD・A・Iから大いに刺激を受けたのではないだろうか。

いに盛り上がったライブもラストの曲『Oasis』が流れ始めた。すると、後ろの方で聴いていた人たちの中から「あ、この曲聴いたことあるよね」と口々にささやき合う声が聞こえてきた。中には「すいません、この人たちって誰ですか?」と取材班に尋ねる人もいたりして、「Do As Infinityですよ」と答えるのがなぜか嬉しかった。全ての曲が終わると、周りを取り囲んだ観客から一際大きな拍手が沸き起こった。彼らの演奏に興味をもった人達が、マネージャーの「こちらにDo As Infinityのフライヤーを用意しました」という声に我先に受け取っていた。思わず「彼らの演奏は、ステージだともっとスゴイんだよ」と教えてあげたかった。

しぶりに行われた路上ライブだったが、誰よりも本人たちが楽しそうに演奏していたのが印象的だった。ライブ告知が無かったばっかりに、観に行けずに悔しい思いをしたサポーターが大勢いたのは残念だが、彼らを全く知らない人々の足さえも止めてしまうほどのバンドにD・A・Iが成長したという事実を素直に喜びたい。